綾鷹の章

第二話

「上林春松本店」との運命的な出会い

「本物」を求める旅で「伝統と革新」に出会う
2006年6月、新しい緑茶飲料開発を目指し、京都の名だたる老舗の茶舗に足を運んでいる中で、プロジェクトチームはある宇治の老舗茶舗と出会いました。それが、上林春松本店でした。
上林春松家は、創業450年の歴史を誇り、宇治茶のみならず日本のお茶文化を支えてきた由緒ある茶舗です。現在、上林春松本店では、抹茶工場の一般見学や宇治・上林記念館の一般公開を行っており、お茶への知識を深めるために、プロジェクトメンバーで訪れたのでした。
上林春松本店 抹茶工場
その日は、偶然にも、上林春松本店の代表取締役である上林秀敏氏(以下、上林社長)が抹茶工場見学や店舗の案内をしてくれ、上林春松本店について説明を受けました。また宇治・上林記念館にも立ち寄り、上林春松家の歴史を物語る貴重な品々に触れ、上林春松家への理解を深めたのでした。

上林社長の説明を伺い、宇治・上林記念館に収蔵されている日本のお茶の文化を物語る貴重な数々の品々を目のあたりにしながら、プロジェクトメンバーは上林春松本店の歴史や伝統、お茶作りに対する姿勢に深く感銘を受けました。そして、さまざまなお話を伺う中、プロジェクトメンバーの心に響いた言葉がありました。「上林春松家は、いつの時代も伝統や文化を守りながら新しい挑戦を続けてきた、いわば伝統と革新の歴史なんです」。伝統と革新――その言葉が、プロジェクトメンバーの一人ひとりの心に刻まれたのでした。
上林春松本店との話し合いがはじまる
「本物の味わいの緑茶飲料」の開発を進める中で、お茶についての知識を深め「本物の味わい」を追求しようとすればするほど、お茶をよく知る専門家の協力が不可欠であるとプロジェクトメンバーは考えるようになりました。伝統によって培われた本物の味わいをつくりだすこだわりの技と、コカ・コーラ社の飲料開発技術が融合すれば、PETボトル入りの緑茶でも、本物の味わいを実現することができるのではないか、と考えたのでした。

さまざまな老舗茶舗を訪ね歩いた結果、いずれの茶舗もすばらしい歴史や伝統があり、新しい緑茶飲料の開発パートナーとして魅力的な存在でした。しかし、チームメンバーにとってパートナー選定の決め手となる言葉があったのです。

それは、「上林春松家は、いつの時代も伝統や文化を守りながら新しい挑戦を続けてきた、いわば伝統と革新の歴史なんです」という、上林秀敏社長の言葉でした。また、上林春松家は、将軍家を中心にお茶を納めていた宇治の茶師たちが、幕府の崩壊にともない次々と姿を消していく中、伝統を重んじながらも、茶師から茶商へと転進し生き残ってきました。その逆境に打ち勝ち挑戦する精神に、プロジェクトメンバーは自分たちを重ね合わせていました。

上林家は、茶道が隆盛を極める以前より、宇治茶の発展に寄与してきた伝統ある老舗茶舗だが、新しい挑戦にも意欲的なのではないだろうか。そんな茶舗を守っている上林社長であればコカ・コーラ社の緑茶飲料づくりへの想いを理解してくれるかもしれない――。そんな想いから、上林春松本店に緑茶飲料開発に協力をしてもらえないか打診してみたい、というメンバーの想いが一致したのでした。

では、伝統と格式のある宇治の老舗茶舗にどのようにアプローチをしたらよいのだろうか。特に上林春松本店へのつてもないため、メンバー一同頭を悩ませました。そこで、まずは、先日のお礼を伝え、上林社長と連絡を取るきっかけを作ろうということになりました。そして、早速、メンバーの一人が前回の訪問の際のお礼状を送付し、上林社長にコンタクトを取ったのでした。
「温故知新の精神」に励まされて
そして、上林社長の了解を得た後、チームメンバーは新しい緑茶製品開発の協力を依頼するという大きな望みを抱き、再び京都へ向かいました。新製品開発への打診を行う前に、コカ・コーラ社に対する信頼を獲得することが大切だと考えたプロジェクトリーダーは、まずはコカ・コーラ社がどのような企業であるかを時間をかけて説明をしました。その上で、コカ・コーラ社の緑茶ビジネスの状況、なぜコカ・コーラ社にとって新しい緑茶飲料が必要なのか、そして、自分たちが挑戦している新しい緑茶飲料はどのようなものであるかを、熱意を持って説明しました。また、茶葉を販売する上林春松本店と、緑茶飲料を販売するコカ・コーラ社のビジネスとの違いについても理解を深めてもらえるように多くの時間を割きました。

コカ・コーラ社からのアプローチに対し、上林社長は興味を示してくれ、何度か面談の時間を持つことができました。しかし、コカ・コーラ社の新しい緑茶飲料づくりへの関心は示してくれるものの、開発協力への了承はなかなかもらえませんでした。
そして、何度目かの面談を経て、上林社長より新しい緑茶飲料開発への協力をいただけるとの返事をもらえました。

新しい緑茶飲料の開発協力にあたり、上林社長から、より多くの人にお茶を手軽に楽しんでもらうために、今の時代にあったPETボトル入りの緑茶もひとつの手段として捕らえていること、上林春松家は、苦難に直面した際には、常に伝統を大切にしながらも革新的なことに取り組み乗り越えてきた茶師の一族であることから、コカ・コーラ社からの依頼に応じることとを決めた、と語ってくれました。
この記事をシェアする
  • 綾鷹

  • 綾鷹 茶葉のあまみ

  • 綾鷹 ほうじ茶